目黒区で訪問看護ステーションをしている街のイスキア訪問ナースステーションのあれやこれや
母の日に亡くなられたご利用者様が書き残していたメモ書き
※ご利用者様のご家族に了承を得て、掲載させていただいております
私が何十年と終末期の患者さんの傍らにいる理由について、ふと気付いたことがあります。
それは、命に限りがあり、自分で体を動かせなくなったり、思うようにいかなくなった人を目の前にして、家族がその人にできる最大限のことをしうる姿を見守ることができるからだと気付きました。
自分は何ができるだろうかと、懸命に考えて行動している姿は、まさに慈愛から行われるあり方です。この愛の行いの場にいられること・・・・これは、本当にその場で感じる崇高な大切な瞬間だと思っています。
医療者から、この家族は介護が難しいだろうと思っていても、ご家族の愛情から思わぬ力を発揮することができるのだと感じます。
ご利用者様の家で最期までいたいという意向に添って、家での看取りをやりきれたご家族を支援させてもらった時に、病院では得られなかった看護の仕事の意義を感じました。
「苦しいって状況からやっと楽になれて、本当によかった。おめでとうって思いました」
「病院だったら、こういう時ずっと一緒にいられないんですよね?処置したりとか・・・。でもずっと一緒にいられて、すぐに体も一緒に綺麗にできてよかった。楽しかったです」
思いがけない言葉に、看取りを家族の手に戻すことの大切さを改めて感じました。
看取りまでの厳しい険しい道には、医療としてできうる限りのことを尽くしますが、看取りまでの最期の一歩はやはり愛する家族のもとに委ねるものなのかと学ばせていただきました。
ご利用者様の手帳に書いてあった言葉をご家族と共に読んで一緒に泣きました。
「140年分の親孝行をありがとう。世界で一番幸せな母より」(人生70歳の2倍)
最期の遺言を胸に、きっとご家族はこれからもより豊かな人生を送ってくださるだろうと思っています。
街のイスキア訪問ナースステーション 所長 石川麗子
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